おなじ給料のはずなのに、
今月だけ、やけに苦しい。
そんな月って、ありませんか?
先月は、そこそこ余裕があった気がする。
使い方も、たぶん、そんなに変えていない。
なのに今月は、月の半ばでもう、こころが縮こまっている。
そして人はここで、だいたいこう考えます。
ぼくの、やりくりが下手なんだ、と。
そんなあなたへ。
だいじょうぶ、あなただけじゃないですからね。
そしてたぶん、それ、やりくりの話じゃないんです。
苦しいのは、金額じゃなくて「重なり」
こういう月を、あとからよく見てみると、
とんでもない散財をしている、ということはあまりありません。
だいたい、こうです。
車の何かの更新が来た。
だれかのお祝いが重なった。
季節の変わり目で、いろいろ買い足した。
そういえば、年に一度の支払いも今月だった。
ひとつひとつは、ぜんぶ「まあ、仕方ないもの」です。
ただ、それが、たまたま同じ月に集まった。
金額の合計だけを見ると、ちょっと多いくらい。
でも、こころへの効き方はまったくちがいます。
出ていくたびに、ひやっとする。
そのひやっとが、今月は何回もあった。
苦しさをつくっているのは、金額そのものより、
ひやっとした回数のほうなんです。
上がったり下がったりに、消耗していたころ
かつてのぼくは、月ごとに自分の生活力を疑っていました。
起業していたころは、入ってくるお金の波が大きい仕事でした。
いい月は、自分がうまくやっている気がする。
わるい月は、自分の生き方そのものが間違っている気がする。
おなじ人間なのに、月が変わるだけで評価がひっくり返る。
いま思えば、ぼくを消耗させていたのは、お金の増減そのものじゃなくて、
それに合わせて上下していた、自分の気持ちのほうでした。
その上下を抱えたまま、ぼくはアディクションに沈み、
やがて部屋から出られなくなります。
引きこもっていた時間に気づいたことがあります。
ぼくはずっと、「一か月」という、ずいぶん短いものさしで自分をはかっていたな、と。
一か月は、短すぎるんです
給料は、月で入ります。
家賃も、カードの引き落としも、月で来ます。
だから、つい「一か月でつじつまが合うのが正常」だと思ってしまう。
でも、暮らしのほうは、月では動いていません。
季節で動きます。
秋には秋の出費があって、冬には冬の出費がある。
一年に一度しか来ないものも、けっこうな数あります。
つまり、家計には季節があるんです。
夏に扇風機が要って、冬に灯油が要る。
それを「使いすぎ」とは呼ばないですよね。
なのに月の単位で切りとると、
たまたま重い月が、まるごと自分の失敗みたいに見えてしまう。
「毎月おなじようにできる」を、そっと手放す
ぼくの生き方の土台に「つみへらし」という考えがあります。
足すより、手放す。
お金の話でも、まず手放したほうがいいものがあります。
それは、「毎月おなじようにできるはず」という、思いこみです。
これ、じつはけっこう重たいこだわりなんです。
できるはず、と思っているから、できなかった月が失敗になる。
失敗になるから、明細を見るのがこわくなる。
こわくなるから、見ない。
見ないから、次の重い月も、また不意打ちで来る。
グルグル、グルグル。
おなじところを、何周も。
このグルグルは、意志では止まりません。
止まるとしたら、ものさしのほうを変えたときです。
一か月ではなく、季節で見る。
それだけで、同じ数字がまったくちがう顔をします。
じつは、軽い月のほうがあぶない
もうひとつ、書いておきたいことがあります。
苦しいのは重い月ですが、
あとから効いてくるのは、じつは軽い月のほうなんです。
なにも重ならなかった月。
ちょっと余裕があった月。
そういう月に、こころはふっと油断します。
そして「これがふつうなんだ」と思ってしまう。
でも、それはたまたま、なにも重ならなかっただけ。
ふつうではなく、たまたましずかな季節だっただけなんですよね。
だから、余裕のある月にやってほしいことはひとつです。
責める必要も、我慢する必要もありません。
ただ、「これはしずかな月だな」と気づいておく。
それだけで、次に重い月が来たときの受け身が、ぜんぜんちがいます。
予測できる重さは、軽くなる
おもしろいもので、おなじ一万円でも、
知らずに出ていく一万円と、知っていて出ていく一万円は、こころへの重さがちがいます。
不意打ちの出費がしんどいのは、金額のせいだけじゃありません。
「自分ではどうにもならない」という感じが、くっついてくるからです。
だから、やることはひとつ。
重い月を、なくそうとしなくていい。
先に、知っておくだけでいいんです。
今日の小さな一歩(3分)
家計簿をつけ直す必要はありません。
今日は、スマホのカレンダーだけ開いてください。
①カレンダーを、これから十二か月ぶん、ざっとスクロールする
毎年きまってお金が動く日に、印をつけていきます。誕生日、記念日、各種の更新、税、帰省、季節の入れかえ。思い出せるものだけでかまいません。
②今月の重さの正体に、丸をつける
「一回が大きかった」のか、「小さいのが重なった」のか。どちらかを選ぶだけです。原因さがしはしなくていいです。
③これから重くなりそうな月を、ひとつだけ見つけて、そこに一行書いておく
「ここは重い月」。それだけ。金額は書かなくていいです。
これは節約術ではありません。
自分の暮らしの、季節表をつくる作業です。
そして、来年のあなたが、この一行に助けられます。
たった三分の作業で、未来のあなたの不意打ちがひとつ減る。
ぼくは、これがけっこう好きなんです。
やわらかい締め
今月が苦しかったのは、あなたのやりくりが下手だからではありません。
ただ、今月がそういう季節だっただけです。
季節は、めぐります。
重い月のあとには、きっと、ふつうの月が来ます。
そしてそのときのあなたは、
「あ、あれは季節だったんだな」と、少しだけしずかな目で見られるはずです。
数字は、ただの事実です。
そこに自分の値打ちをくっつけなくて、だいじょうぶ。
淡々と、カレンダーに一行だけ。
今日は、それでもう合格です。
秋のはじまりのこの時期に、そっと。
今日もまた、自分らしいペースでトコトコ歩いていきましょうね。
