連休の入口で、お財布をひらく前に、ひと呼吸だけ

あしたから連休、という金曜の夜。なんだか、こころが、そわそわしてきませんか。

どこかへ、行こうか。あれも買おうか、これも食べようか。ふだん、がまんしてた分、ちょっとくらい、贅沢してもいいよね、って。

その気持ち、ぼくは、とてもよくわかります。だって、あなたは、ずっと、がんばってきたんですから。たまの連休くらい、自分に、ごほうびを。そう思うのは、ごく自然なことです。

でも、もしあなたが、繊細でがんばり屋さんなら——連休が明けたあと、カードの明細を見て、そっと、胸が痛くなることが、あるのでは、ないでしょうか。

「ああ、また、使いすぎた」「あんなに、買わなくても、よかったのに」

楽しかったはずの記憶に、うっすらと、後悔の色が、にじむ。そして、あんなに楽しみにしていたはずの連休が、終わってみると、なんだか、もやもやした疲れと、罪悪感だけを、残していく。

そんなあなたへ。

だいじょうぶ。あなただけじゃないですからね。

ぼくは、つみへらし、という生き方を、大切にしています。足すより、手放す。こだわりや、とらわれを、すこしずつ、減らしていく。それだけで、こころは、ふっと、軽くなる。

お金のつかい方にも、これは、そのまま、あてはまるんです。

連休というのは、ぼくたちが、いちばん「足したくなる」ときです。非日常の高揚感が、財布のひもを、するすると、ほどいていく。お店も、街も、画面のなかの広告も、ぜんぶ「いま買おう」と、ぼくたちの背中を、やさしく、でも、しつこく、押してきます。

でも、本当にほしかったものって、案外、そんなに、多くないんですよね。あとから振りかえると、「なんで、これ、買ったんだっけ」というものが、けっこう、混じっている。その場の空気に、流されて、手にとっていただけ、ということが。

正直に打ち明けると、かつてのぼくは、お金のつかい方が、めちゃくちゃでした。

起業して、走りに走っていたころ。稼いだぶんだけ、すぐに、使ってしまう。高いものを買えば、自分が、満たされる気がしていました。心のすき間を、ものや、お酒や、刺激で、せっせと、埋めようとしていたんです。

でも、どれだけ買っても、満たされることは、ありませんでした。買った瞬間だけ、ぽっと、明るくなって。そして、すぐにまた、暗くなる。その暗さを、ごまかすために、また、つぎを、買う。

そのくり返しの先で、ぼくは、お金も、こころも、すり減らしていきました。気づけば、人と会うのも、こわくなって、部屋から、出られなくなっていたんです。

あのころのぼくに、足りなかったのは、もっと稼ぐ力では、ありませんでした。ほしい気持ちと、すこし、距離をおく。その、ほんの数秒の、余白のほうでした。

だから、今日お伝えしたいのは、がまんしましょう、ということでは、ないんです。

使うな、節約しろ、と、言いたいわけでは、ありません。連休は、楽しんでいい。あなたは、よろこびを、思いきり、味わって、いいんです。それは、あなたが、ちゃんと受け取るべき、ごほうびなんですから。むしろ、自分に、よろこびを、ぜんぶ禁じてしまうほうが、ぼくは、こころに、よくないと思っています。

ただ、お財布をひらく前に、ひと呼吸だけ、おいてみませんか。

「これは、本当に、ぼくがほしいもの?」「それとも、その場の空気に、押されているだけ?」

たった数秒、立ち止まるだけで、いいんです。その数秒が、買ったあとのあなたを、そっと、守ってくれます。

ふしぎなことに、ひと呼吸おいてから買ったものは、後悔が、ほとんど、残らないんです。ちゃんと「自分で選んだ」という手ざわりが、こころに、残るから。

逆に、流されて買ったものは、どこか、他人事みたいで、あとから、罪悪感だけが、ぽつんと、やってくる。そして、その罪悪感を、まぎらわせるために、また、なにかを、買いたくなる。かつてのぼくが、ぐるぐると、はまっていた、あの、うずまきです。

おなじお金を、つかうなら。あとで、自分を、責めなくていいお金のつかい方を、選びたいですよね。

今日できる、小さな一歩。

連休のあいだ、なにかを買おうとする手を、いちど、止めて、こころのなかで、三つ、数えてみてください。ひとつ、ふたつ、みっつ。それから、もういちど、その値札を、見る。

それでも「ほしい」と思えたなら、どうぞ、よろこんで、手にとってください。それは、あなたが、ちゃんと選んだ、あなたの彩りです。

「あれ、そうでもないかも」と思えたなら、そっと、棚に戻す。手放した、その数百円や、数千円が、連休明けのあなたを、ふっと、軽くしてくれます。

お金は、つかうのも、つかわないのも、どちらも、あなたの自由です。大切なのは、そのどちらも、自分で、えらべている、という感覚なんです。流されるのでは、なく、えらぶ。それだけで、お金との関係は、すこし、おだやかに、なります。そして、おだやかなお金のつかい方は、きっと、おだやかなこころを、連れてきてくれます。

焦らず、比べず、背伸びせず。連休のよろこびも、ひと呼吸のゆとりも、どちらも、あなたのものですから。

今日もまた、自分らしいペースで、トコトコ歩いていきましょうね。

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