水曜の夜。週のまんなか。
会社の人間関係に、もうくたくたで。家に帰ってきても、こころが、ぜんぜん休まらない。
あの人の機嫌をうかがって。言いたいことをのみこんで。笑いたくないのに、笑って。
帰り道、ふと、「ぼくは、いったい何をやってるんだろう」って、立ち止まってしまう。
そんなあなたへ。だいじょうぶ。あなただけじゃないですからね。
きょうは、ひとつ、ご相談をいただいたとして、お話しさせてください。
「職場の人間関係に、いつも気をつかいすぎて、へとへとです。みんなに好かれようとしてしまう自分を、どうにかしたいです」
そんなお悩みです。たぶん、あなたのなかにも、似た声があるんじゃないかと思います。
まず、ひとつだけ、お伝えしたいことがあります。
みんなに気をつかえてしまう、というのは。それは、あなたが、人の痛みに気づける、やさしい人だ、ということです。
決して、弱さではありません。
ただ、そのやさしさが、いまは、あなた自身を、すこし苦しめてしまっている。それだけのことなんです。
正直に打ち明けると、かつてのぼくも、まったく同じでした。
ぼくは、「嫌われること」が、こわくてたまりませんでした。
だれかが、ほんのすこし不機嫌そうにしているだけで。「ぼくが、なにかしたのかな」と、一日じゅう、そのことを考えてしまう。
会議で、自分とちがう意見があっても、言えない。ムリなお願いをされても、断れない。
みんなに好かれていれば、安心できる。だから、ぼくは、いつも、まわり全員の顔色をうかがって生きていました。
でも、そうやって全員に合わせつづけた結果、ぼくのこころには、本当の自分が、どんどん居場所をなくしていきました。
人に合わせすぎて、自分がどう感じているのか、自分でもわからなくなって。
うれしいのか、いやなのか。やりたいのか、やりたくないのか。それすら、わからなくなっていったんです。
最後には、人と会うこと自体がこわくなって、部屋から出られなくなった時期がありました。
全員に好かれようとした先にあったのは、安心ではなくて。自分という人間が、すり切れて、なくなっていく感覚だったんです。
全員に好かれることは、できない。
ここで、すこし、きびしく聞こえるかもしれない話を、ひとつだけ。
ぼくたちは、どうがんばっても、全員には好かれません。
これは、あなたの魅力が足りないから、ではありません。
10人いれば、2人はなぜか合う人、7人はどちらでもない人、1人はなぜか合わない人。だいたい、そういうものだと言われます。
合わない1人を、好きにさせようと、すべての力をそそぐ。そのあいだに、本当に合う2人のことを、ないがしろにしてしまう。
これって、すごく、もったいないことなんです。
全員に好かれようとすることは、じつは、だれともちゃんと向き合えていない状態でもあるんです。
人間関係も、「引き算」していい。
ぼくが大切にしている「つみへらし」という生き方は、人間関係にも、そのまま当てはまります。
足すより、手放す。
すべての人と、うまくやろうとしなくていい。すべての人に、好かれようとしなくていい。
「この人には、どう思われてもいい」と、こころのなかで、そっと手放す相手を、ひとりつくる。
そうすると、ふしぎと、こころに、すっと余白が生まれます。
全員に気をつかうのをやめると、薄情になるんじゃないか、と心配になるかもしれません。
でも、逆なんです。
少数の、本当に大切な人に、ちゃんと心をつかえるようになる。
広く、浅く、すり減らすより。せまく、深く、あたためる。
そのほうが、人間関係は、ずっとあたたかく、ゆたかになっていくんです。
それに、ふしぎなことに。
「どう思われてもいい」と力をぬいたとき、相手のほうも、なぜか、すこし、こちらに心をひらいてくれたりする。
気をつかいすぎて、こわばっていたときには、なかったことです。
もうひとつ、お伝えしたいことがあります。
「嫌われたくない」という気持ちの奥には、たいてい、「ちゃんとしていたい」という、まじめさがあります。
それは、責められるようなことでは、まったくありません。
ただ、そのまじめさを、すこしだけ、自分のほうにも、むけてあげてほしいんです。
人に気をつかうのと同じくらい、自分の気持ちにも、気をつかってあげる。
「ぼくは、いま、ほんとうはどうしたいんだろう」
その小さな問いを、一日に一度、思い出すだけで、こころは、すこしずつ、自分のもとに戻ってきます。
今日できる、小さな一歩。
水曜の今日、3分だけ、こんなことをしてみませんか。
①職場の人を、何人か、頭に思いうかべる。
②そのなかで、「この人にどう思われるか、いちばん気にしている人」を、ひとり選ぶ。
③その人について、こころのなかで、そっと、こうつぶやいてみてください。「この人に、どう思われても、ぼくの価値は変わらない」と。
たったそれだけです。
無理に、その人を嫌いになる必要はありません。態度を変える必要も、ありません。
ただ、こころのなかで、ひとつ、力をぬくだけ。
全員に好かれなくて、いいんです。
あなたのことを、本当に大切に思ってくれる人は。あなたが顔色をうかがわなくても、ちゃんと、あなたのそばにいてくれますから。
焦らず、比べず、背伸びせず。今日もまた、自分のペースで、トコトコ歩いていきましょうね。
