雨が降る前の日。なんだか、頭が重い。からだが、だるい。気持ちまで、どんよりしてくる。
なのに、やることは、いつもどおり、たくさんあって。「こんなことで、しんどがってる場合じゃない」と、自分にムチを打つ。
そんなあなたへ。だいじょうぶ。あなただけじゃないですからね。
もうすぐ、梅雨がやってきます。これからしばらく、気圧がぐらぐら揺れる季節です。
じつは、雨の前にからだがだるくなるのには、ちゃんとわけがあります。
気圧が下がると、自律神経が、それに反応して、ゆらぎます。頭が痛くなったり、だるくなったり、気持ちが落ち込んだり。
これは、あなたの気合いが足りないから、ではありません。あなたのこころが弱いから、でもありません。
ただ、あなたのからだが、空のうつりかわりを、ちゃんと感じとれている。それだけのことなんです。
むしろ、繊細なセンサーを持っている人ほど、こういう変化に、よく反応します。
人の気持ちの小さな揺れに気づいてしまう人が、空の気圧の揺れにも気づいてしまう。それは、同じやさしさの、裏と表なのかもしれません。
正直に打ち明けると、かつてのぼくは、こういう「からだのサイン」を、まるごと無視して生きていました。
だるくても、頭が重くても、「気のせいだ」「甘えだ」と、自分に言い聞かせて。
からだが「休みたい」と言っているのに、こころが「まだ動け」とムチを打つ。
からだの声を、ずっと、握りつぶしていたんです。
そうやって無視しつづけた結果、ぼくのからだは、最後には、大きな声で悲鳴をあげました。
走りすぎて、お酒や刺激に逃げて。人と会うのもこわくなって、部屋から出られなくなった時期がありました。
あのとき、ぼくがちゃんと聞いてあげるべきだったのは、もっとがんばれという、こころの声ではなくて。
「すこし休ませて」という、からだの小さな声のほうだったんです。
だるさは、サボれ、という合図ではなく、ゆるめろ、という合図。
雨の前のだるさを、「治さなきゃいけないもの」「克服すべきもの」だと思うと、よけいにしんどくなります。
そうではなくて。
だるさは、あなたのからだからの、おたよりみたいなものなんです。
「きょうは、いつもの100パーセントじゃなくていいよ」「すこし、力をぬいてもいいよ」
そう、からだが、あなたに教えてくれている。
ぼくが大切にしている「丁寧に生きる」という言葉は、けっして「いつも全力でがんばる」という意味ではありません。
むしろ、その日のからだの調子に合わせて、ちゃんとペースを変えてあげること。
晴れの日は、すこし動く。雨の日は、すこしゆるめる。
それは、なまけることではなくて。自分のからだと、丁寧につきあう、ということなんです。
そして、これは、つみへらしの考え方とも、地続きです。
「ぜんぶ、いつもどおりにやらなきゃ」という、その思いこみを、ひとつ手放す。雨の日くらいは、やることを、すこし減らしていい。
足すのではなく、減らす。それだけで、からだも、こころも、ふっと、息をつけます。
そして、ぼくたちは、つい、こう思ってしまいます。
「みんな、これくらいで、しんどがってないのに」
でも、それは、わからないだけなんです。
繊細な人は、人前では、ちゃんとしているように見せるのが、とても上手だったりします。だから、まわりの人の、見えないしんどさには、気づけない。
ほんとうは、みんな、それぞれの天気の日を、それぞれの重さで、歩いている。
あなただけが、弱いわけではないんです。
雨の日のだるさは、あなたのからだが、まじめに働いている証拠でもあります。気圧の変化を、ちゃんと受けとめて、からだが、必死に、バランスをとろうとしている。
そのからだに、「サボるな」と、ムチを打つのではなくて。「いつも、ありがとう。きょうは、ゆっくりでいいよ」と、声をかけてあげてほしいんです。
ぼくは、季節の変わり目を、こんなふうに思っています。
それは、からだが、すこし立ち止まって、新しい季節に、こころとからだの「衣替え」をしている時間なんだと。
あたらしい服に着がえるとき、いったん、いまの服を脱ぎますよね。その、なにも着ていない、すこし無防備な瞬間。
雨の前のだるさは、ちょうど、その瞬間に似ています。
だから、無理に動こうとしないで。着がえの途中なんだなと、ゆっくり、待ってあげればいいんです。
今日できる、小さな一歩。
雨が近い今日、こんなふうに、いくつか、自分をゆるめてみませんか。
①「きょうは、いつもの7割でいい」と、朝、自分に許可を出す。ぜんぶを完璧にやろうとするのを、いったん、手放してみる。
②水を、いつもより、こまめに飲む。気圧でゆらぐ季節は、からだの水分が、こころの落ちつきにつながります。
③ひとつだけ、「きょうは、これはやらない」と決める。やらないことを、ひとつ決めるだけで、からだが、すっと軽くなります。
がんばらない、ではなくて。きょうは、すこしだけ、ゆるめる。
だるい自分を、責めなくて、いいんです。
それは、あなたのからだが、ちゃんと季節を感じている、やさしい証拠なんですから。
焦らず、ゆるめて。今日もまた、雨の音を聞きながら、自分のペースで、トコトコ歩いていきましょうね。
