雨が近づいてくると、それだけで、からだの奥が重たくなる。頭の芯が、ずーんとして、なにをするにも、おっくうになる。
そんなこと、ありませんか。
空はどんより、気圧はぐっと下がって。やらなきゃいけないことは、いつもどおり積み上がっているのに、からだがまるで、ついてきてくれない。
「どうして、こんなことくらいで動けないんだろう」「みんなは、ふつうにやれているのに」そうやって、だるさを感じる自分のことを、また少し、責めてしまう。
そんなあなたへ。だいじょうぶ。あなただけじゃないですからね。
それは、気のせいでも、なまけでもありません
まず、これだけは、お伝えさせてください。
梅雨のだるさや、気圧の頭痛は、あなたの気のせいではありません。ましてや、なまけているからでも、心が弱いからでも、ありません。
気圧が下がると、からだは、ほんの少しだけ、ゆるむ方向にかたむきます。自律神経のバランスがゆれて、だるさや、頭の重さや、気分の沈みが出てくる。これは、あなたのからだが、ちゃんと天気に反応している、という、いのちの証拠なんです。
とくに、繊細で感受性のゆたかな人ほど、この変化を、こまやかに感じとります。あなたが人一倍だるいのは、あなたのからだが、人一倍、世界をていねいに感じている、ということでもあるんです。
だから、まず。だるい自分を、責めるのを、やめてみましょう。
整えるより、まず「降参する」
こういうとき、つい、ぼくたちは「整えよう」「治そう」とがんばってしまいます。気合いで動こうとしたり、無理に予定をこなそうとしたり。
でも、ぼくの実感では、気圧に「勝とう」とすればするほど、からだは、よけいにこわばっていきます。
だから、ぼくがおすすめしたいのは、整えるより前に、まず、そっと「降参する」こと。
「あぁ、今日は、雨に負けておこう」「今日は、いつもの半分でいい日にしよう」
そう、こころのなかで宣言してしまう。これは、あきらめではありません。からだの声に、すなおに耳をかたむける、という、りっぱな知恵です。
降参してから、整える。順番が、だいじなんです。
今日できる、小さな整えごと
降参したうえで、3分くらいでできる、からだを整える小さなワークを、いくつかお渡しします。ぜんぶやらなくて、だいじょうぶ。ひとつでも、こころにとまったものを。
① 耳を、やさしく回す。両耳を、親指と人さし指でつまんで、ゆっくり、うしろに5回ほど回す。耳のまわりがほぐれると、頭の重さが、すこしやわらぎます。気圧のだるさに、ぼくがいちばん助けられている所作です。
② 白湯を、ひとくち。冷たいものは、からだをよけいに重くします。あたたかい白湯を、両手で包んで、ゆっくりと、ひとくち。からだの真ん中に、あたたかい線が一本、通っていくのを感じてみる。
③ 呼吸を、吐くほうから。吸うことより、吐くことを、長く。口から、ふぅーっと、しぼむ風船みたいに、ぜんぶ吐ききる。吐ききると、つぎの息は、自然と入ってきます。これを3回。
④ 予定を、ひとつ、あした送りにする。今日やる予定だったことの中から、ひとつだけ、「これは、あしたでもいい」と決めて、そっと手放す。減らした分の余白が、いちばんの薬になることもあります。
「だるさを感じる自分」を、責めないで
ここで、いちばん大切なことを、もういちど。
梅雨の時季にいちばんこころを重くするのは、じつは、だるさそのものではないんです。「こんなことで、まいっている自分」を責める、その声のほうなんです。
だるい。動けない。それだけでも、しんどいのに。そこへ、「情けない」「みんなはできているのに」という、自分への小さな叱責が重なる。その二段重ねが、ぼくたちを、いちばん消耗させてしまう。
だから、整える前に、まず、その声を、そっと止めてあげてください。「だるいよね。雨だもんね。しかたないよ」と、まるで、しんどい友だちに声をかけるみたいに、自分自身に言ってあげる。それだけで、こころの荷物が、ひとつ、軽くなります。
雨の日のからだは、休んでいいと言っている
ぼくは以前、からだの声を、ぜんぶ無視して生きていました。だるくても、頭が痛くても、気合いで押しきって。その無理が積もりに積もって、最後はこころもからだも動かなくなり、部屋から出られなくなった時期があります。
あのとき、ようやくわかったんです。だるさは、敵じゃなかった。「すこし、休みなさい」という、からだからの、やさしい手紙だったんだと。
無理に押しきっていたら、その手紙は、どんどん、厳しい督促状に変わっていきます。だから、小さなだるさのうちに、ちゃんと受けとってあげる。それが、いちばんやさしい予防になります。
梅雨は、長いようで、ちゃんと終わります。そのあいだ、あなたのからだが「重い」と言うなら、それは、休んでいいというサインです。
雨に、そっと降参して。いつもの半分のペースで、トコトコ歩いていく。それくらいが、この季節には、ちょうどいいんです。
焦らず、比べず、雨に勝とうとせず。今日のあなたのからだを、いちばんに、いたわってあげてくださいね。
