つい人と比べてしまう夜の、あなたへ

ねえ、あなた。

スマホを閉じたあと、ふっと、こころが重くなること、ありませんか。

だれかのキラキラした投稿。うまくいっている報告。楽しそうな、まぶしい笑顔。

見たくて見たわけじゃないのに、見てしまって。そのたびに、自分のことが、ほんの少し、みすぼらしく思えてくる。

「いいな」のあとに、「それにくらべて、わたしは」が、しずかに続く。

そんな夜を、過ごしていませんか。

そんなあなたへ。だいじょうぶ。あなただけじゃないですからね。

きょうは、こんなお悩みを入り口に、すこしお話しさせてください。

ーー「SNSを見るたび、人と比べて落ち込んでしまいます。見なきゃいいのは、わかっているんです。それなのに、つい開いてしまって、そのたびに自分がいやになります。こんな自分、どうしたらいいんでしょう」。ーー

まず、いちばん最初に、お伝えしたいことがあります。

比べてしまうのは、あなたが弱いからでも、心がせまいからでも、ありません。

そういう仕組みに、なっているんです

そもそも、SNSというのは、人の「いちばんいいところ」だけが、流れてくる場所です。

うまくいった瞬間。いちばんいい角度の笑顔。楽しかった、ほんの一部分。

だれも、布団から出られなかった朝や、トイレでこっそり泣いた夜は、投稿しません。

つまり、ぼくたちは、自分の「ぜんぶ」と、人の「いちばんいいところ」を、ならべて見ているんです。

これは、はじめから、勝てない比べっこなんですよね。

晴れ着の人ばかりが歩く通りで、寝起きのパジャマの自分を見て、「みんなより、ぼくはダメだ」と落ち込んでいるようなもの。

そりゃあ、しんどいに決まっています。あなたのこころが弱いんじゃない。土俵が、はじめから傾いているんです。

ぼくも、ずっと、比べていました

正直に打ち明けると、かつてのぼくは、比べることでしか、自分を測れない人間でした。

起業して、走っていたころ。ほかの経営者の数字や、SNSのフォロワーや、華やかな投稿を見ては、勝った、負けた、と一喜一憂していました。

人より上にいるときだけ、自分に価値がある気がして。下にいると感じた瞬間、こころが、ずーんと沈む。

ずっと、人をものさしにして、自分の値段を決めていたんです。

でも、そのものさしで測るかぎり、こころが休まる日は、一日もありませんでした。上には、いつも、もっと上がいる。比べて生きるというのは、終わりのない、勝てない競争を、ひとりで走りつづけることでした。

最後は、人と会うのもこわくなって、部屋に引きこもりました。比べすぎて、自分という存在が、すり減ってしまったんだと思います。

比べる土俵から、そっと降りる

ぼくがすこし楽になれたのは、「比べない強い人」になれたから、ではありません。

そうではなくて、「比べる土俵から、そっと降りていい」と、自分に許せたからでした。

あなたの彩りと、だれかの彩りは、もともと、ちがう色です。

You can be any color you want.

青には青の、黄には黄の、よさがある。青が黄に勝とうとしても、青が黄になれるわけじゃない。そして、ならなくて、いいんです。

人の色をうらやんで自分の色を曇らせるより、自分の色を、すこしずつ、丁寧に塗っていく。

つみへらし——人と比べるものさしを、そっと手放す。それは、向上心を捨てることでは、ありません。他人を基準にするのをやめて、きのうの自分だけを、基準にしてあげることです。

今日できる、小さな一歩

「比べるのをやめよう」と意志でがんばるのは、しんどいですし、たぶん続きません。だから、もっと小さくて、具体的なことを、ひとつ。

① つい比べて、こころがチクッとしたら、まず、そのことに気づくだけでいい。「あ、いま、比べてるな」。責めずに、ただ、気づく。気づけた時点で、半分は抜け出せています。

② そのうえで、スマホをそっと置いて、「今日、自分がやれたこと」を、ひとつだけ思い出す。どんなに小さくてもいい。ちゃんとごはんを食べた。ひとつ、メールを返した。それで、じゅうぶんです。

③ 夜、ベッドに入る前に、画面の明るさを、ほんの少し落とす。これは気休めじゃなくて。まぶしい光は、比べるこころを、よけいに刺激しますから。物理的に、すこし暗くする。それだけで、ずいぶん違います。

たったこれだけです。

うまくできなくても、だいじょうぶ。また比べてしまっても、「気づけた」なら、それで一歩、前に進んでいますから。

あなたの色を、あなたが見てあげる

人の色ばかり見ていたころのぼくは、自分が何色なのか、ずっと、わからないままでした。

でも、比べる目を、すこしずつ自分のほうに向けるようになって、はじめて気づいたんです。ぼくにも、ぼくにしか出せない、地味だけれど、あたたかい色があったんだと。

だから、もしあなたが今夜、だれかの色をまぶしく感じて、自分の色を見失いそうになっていても。

だいじょうぶ。あなたの色は、消えてなんかいません。人の光に、いっとき、見えにくくなっているだけです。

焦らず、比べず、背伸びせず。あなたの色を、あなたの手で、すこしずつ塗っていきましょうね。

きっと、だいじょうぶ。あなたの色を、いちばん必要としている人が、ちゃんと、どこかにいますから。

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