笑い飛ばせたら、世界はまた色を取り戻す

深刻になりすぎて、こころが、ガチガチに固まっていませんか。

ちょっとした失敗も、まるで世界の終わりみたいに感じて。人の何気ないひとことが、いつまでも頭から離れなくて。気づけば、眉間にしわを寄せて、ため息ばかり。

まじめなあなたほど、すべてを、まっすぐ受けとめすぎて、くたびれてしまう。

そんな自分に、また少し、うんざりしてしまう。

そんなあなたへ。だいじょうぶ、あなただけじゃないですからね。

きょうは、こころが固まってしまったときに、そっと思い出したい禅語を、ひとつお渡しさせてください。

ひと笑いで、山は青さを取り戻す

『一笑千山青』(いっしょうすればせんざんあおし)。「ひとたび笑えば、千の山が、青々とよみがえる」という、禅の言葉です。

少しむずかしいですが、ぼくは、こんなふうに受け取っています。

——深刻になって、こころが曇っているとき、目の前の山は、灰色にくすんで見える。でも、ふっと肩の力が抜けて、思わず笑えた、その瞬間。くすんでいた山が、いっせいに、青々とした色を取り戻す。

山が変わったわけじゃ、ありません。変わったのは、それを見ているこころのほう。ぼくたちが深刻に握りしめていたものを、ひと笑いで、ぽろっと手放したとき、世界はもとの彩りを、ちゃんと取り戻すんです。

深刻さは、世界から色を奪う

深刻になっているとき、ぼくたちのこころは、ぎゅっと縮こまっています。

ひとつの問題を、頭のなかで、何度もグルグル転がして。最悪のことばかり想像して。「どうしよう、どうしよう」で、視野が、どんどん狭くなっていく。

そうなると、不思議と、世界がモノクロに見えてきます。空のきれいさにも、花の色にも、気づけなくなる。おいしいごはんも、味がしなくなる。深刻さは、世界から、彩りを奪っていくんです。

『一笑千山青』が教えてくれるのは、その色を取り戻す方法。それが、深刻に考えこむことの、まったく逆——「笑う」ことだ、というんです。

ぼくが、何ひとつ笑えなくなった時期

正直に打ち明けると、かつてのぼくは、笑い方を、忘れていました。

起業して、走って、走って。すべてを深刻に受けとめて、いつも、眉間にしわを寄せていました。失敗は、ぜったいに許されない。ちょっとのつまずきも、自分を全否定する材料にして。

そのうち、お酒や刺激に逃げて、最後は部屋に引きこもりました。

引きこもっていたころのぼくの世界は、ほんとうに、まっくらでした。何を見ても、灰色。笑う、なんてことが、どこか遠い国の話みたいに思えていました。

そんなぼくが、すこしずつ前を向けたきっかけのひとつが。じつは、ほんの小さな「笑い」でした。

なんてことない、お笑い番組を見て、ふっと吹き出した、ある夜。そのとき、はじめて気づいたんです。あぁ、こんなに深刻だったぼくにも、まだ、笑う力が残っていたんだ、って。ひと笑いで、まっくらだった世界に、ほんの少しだけ、色がさしたんです。

笑えない日を、責めなくていい

ここで、ひとつだけ。

「つらいときも、笑いましょう」と言いたいわけでは、ありません。笑えないほどしんどいときに、無理に笑うのは、こころに、もっと負担をかけてしまいます。

笑えない日は、笑えなくていいんです。ただ、覚えておいてほしい。どんなに深刻でも、こころのどこかに、笑う力は、ちゃんと残っている。それは、消えたりしません。今は曇っていても、いつか、また、ふっと笑える日が来ます。

今日できる、小さな一歩

むずかしい修行は、いりません。こころが固まったときの、小さなワークを、ひとつ。

① 深刻になっているな、と気づいたら、まず、口角を、ほんの少しだけ上げてみる。おかしくなくて、いいんです。ただ、口のかたちだけ、笑顔に近づける。それだけで、こころは、すこしだまされてくれます。

② 自分を、ちょっとだけ、笑ってみる。「こんなことで、ずいぶん深刻になってたなぁ」と、すこし離れたところから、自分をながめる。責めるんじゃなくて、くすっと、いとおしむように。

③ 余裕があれば、思いきり笑えるものを、ひとつだけ見る。好きなお笑いでも、動物の動画でも、なんでもいい。深刻なこころに、わざと、すきまを作ってあげる。

たったこれだけです。すぐに笑えなくても、だいじょうぶ。口角を上げてみた、その一歩で、もう、こころはゆるみはじめていますから。

世界は、いつでも青いまま、待っている

深刻さで、灰色に見えていた世界は。じつは、ずっと、青いまま、そこにありました。

色を失っていたのは、世界じゃなくて、ぼくたちのこころのほう。だから、こころがふっとゆるんだ瞬間に、世界は、もとの彩りを、ちゃんと返してくれます。

You can be any color you want.あなたは、何色にだってなれる。だからまず、その眉間のしわを、ひとつほどいて。

焦らず、比べず、深刻になりすぎず。こころが固まったら、口角を、ほんの少し上げてみて。今日という一日を、すこしだけ、軽やかに歩いていきましょうね。

だいじょうぶ。あなたのなかの笑う力は、消えていません。千の山は、あなたの「ひと笑い」を、青いまま、待っていますから。

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