気づけば、もう六月の終わり。
今年も、半分が過ぎようとしています。
年のはじめに、あんなに意気込んでいたのに。手帳に書いた目標は、いくつ、かなえられただろう。ふり返って、できなかったことばかりが目について、ため息が出る。
「今年も、半分終わったのに、ぼくは何をしていたんだろう」。
そんなふうに、自分を、しずかに責めていませんか。
そんなあなたへ。だいじょうぶ。あなただけじゃないですからね。
きょうは、半年の折り返しに、ちょっとちがう棚卸しの仕方を、お渡しさせてください。
ふり返りが、自分を裁く時間になっていないか
半年をふり返るとき、ぼくたちはつい、「できたこと・できなかったこと」で、自分を採点しがちです。
目標の達成率。やり残したことの数。理想と現実のギャップ。
でも、それって、自分で自分を、裁判にかけているようなものなんですね。
そして、がんばり屋さんほど、その裁判が、きびしい。できたことは、当たり前と流してしまって、できなかったことばかりを、何度も、何度も、グルグル責め立ててしまう。
それでは、ふり返るたびに、こころが、すり減っていくばかりです。ふり返りが、自分を励ますどころか、自分を痛めつける時間になってしまっては、本末転倒ですよね。
だから、きょうは、足し算のふり返りを、いったん、お休みしてみませんか。
かつてのぼくは、足りないものばかり数えていた
かつてのぼくは、いつも「足りないもの」を数えて、生きていました。
起業して、目標を立てて、達成できないと、自分を責めて。達成しても、すぐに次の、もっと高い目標を立てて、また足りないところを探して。
ゴールにたどり着いても、そこにあるのは、よろこびじゃなくて、「まだ足りない」という渇きでした。
その渇きを、お酒や刺激でうめようとして、最後は、人に会うのもこわくなって、部屋に引きこもった時期もありました。
あのころのぼくは、自分の人生の「足りないところ」ばかりを、几帳面に数えていたんです。手にしているはずの、たくさんの彩りには、まったく気づかずに。
『放下着』
少しむずかしい言葉ですが、半年の折り返しに、そっと思い出したい禅語があります。
『放下着』(ほうげじゃく)。
「持っているものを、いったん、ぜんぶ下ろしてしまいなさい」という、禅の教えです。
ぼくたちは、知らないうちに、たくさんの荷物を背負っています。「こうあるべき」という理想。「達成しなきゃ」という焦り。「できなかった」という自分への失望。
そういう重たい荷物を、年の折り返しに、いったん、地面に下ろしてみる。
下ろしてみると、はじめて見えてくるんです。「あれ、ぼく、こんなに重たいものを背負って、よく歩いてきたなぁ」って。
棚卸しは、足したものを数える時間じゃなくて、手放せたものを、いとおしむ時間。ぼくは、そう思っています。
今日できる、小さな一歩
むずかしいふり返りシートは、いりません。きょう、紙を一枚、用意して、3分のワークを、ひとつ。
① まんなかに、線を一本、引いてください。
② 左がわに、この半年で「手放せたもの」を、書き出します。やめられた習慣。距離をとれた人。あきらめられた理想。ほんの小さなことで、いいんです。
③ 右がわに、この半年で「あたらしく出会えた彩り」を、書きます。好きになれたこと。気づけた自分の気持ち。ふと、うれしかった瞬間。
できなかったことは、きょうは、一行も書かなくて、だいじょうぶ。
書き出してみると、おどろくはずです。何も達成していないつもりでも、あなたは、ちゃんと、たくさんのものを手放して、たくさんの彩りに出会っていたんだ、と。
折り返しは、また歩きだすための、立ちどまり
半年の折り返しは、成績発表の日では、ありません。
それは、すこし立ちどまって、重たい荷物を下ろして、ふぅっと、ひと息つくための日。
下ろせたものを、いとおしんで。出会えた彩りに、ありがとうを言って。そうして、また、軽くなった足どりで、後半戦を、トコトコ歩きだせばいい。
できなかったことは、これからの半年で、ゆっくりやればいいんです。あるいは、もう手放してしまっても、いいのかもしれません。
そもそも、年のはじめに立てた目標は、いまのあなたに、まだぴったり合っているでしょうか。半年も経てば、季節も、気持ちも、ずいぶん変わります。半年前の自分が決めたことに、いまの自分を、むりやり合わせる必要は、ないんです。
合わなくなった目標を、そっと脱ぐ。それも、りっぱな手放しのひとつ。サイズの合わない服を、いつまでも我慢して着る必要が、ないように。
ふり返るというのは、過去の自分を採点することじゃなくて、いまの自分の声を、もういちど聞いてあげること。「ほんとうは、どっちへ歩きたい?」って、こころに、やさしく尋ねてあげる時間なんだと思います。
焦らず、比べず、自分を裁かず。きょうは、がんばってきた自分に、おつかれさまと、やさしく声をかけてあげましょうね。
