送ったメッセージに、既読がついたまま動かない。
あるいは、未読のまま、もう何時間も経っている。
夜になるほどに、スマホの画面を見る回数が増えて、
ない通知を、何度も「ない」と確認している自分にうんざりする。
そんな夜のこと、ありませんか?
そんなあなたへ。
だいじょうぶ、あなただけじゃないですからね。
ぼくも、人間関係でつまずいた夜は、なんども同じことをしていました。
「機嫌をそこねたのかな」
「重たいって思われたかな」
「もう、嫌われたのかも」
頭の中で、相手の沈黙にひたすら台詞を書き足して、勝手に物語をつくっていた。
そして気づいた頃には、相手はただスマホを見てなかっただけ、ということがほとんどなのに、
ぼくのこころだけが、勝手に傷んで、勝手に小さくなっていたんです。
ある時期、それがあまりにつらくなって、相手から返信が来ないと、すぐに追いメッセを送る癖がついてしまったこともあります。
当然、それで関係が良くなることはなく、ぼくはまた「やっぱり嫌われた」と落ちていく、というループ。
長く経って、いま分かるのはこういうことです。
返信がない、という事実そのものに痛みはない。
痛みは、そこにぼくが自分で書き足した物語のほうにある。
『莫妄想』(まくもうぞう)。
余計な妄想を、しないでいいよ、という禅語です。
やさしくて、しかも、ちょっとシュッと刺さる言葉。
今日の小さな一歩は、二つです。
ひとつ、スマホを伏せて、別の部屋に置く。
通知を見ない時間を、まずは30分だけ。
ふたつ、目を閉じて、自分に問いかけてみる。
「いま、ぼくが想像していることのうち、確実な事実はどれ?」
ほとんどの夜、答えはこれだけです。
「相手の返信がまだない」、それだけ。
ほかは全部、ぼくが書き足した物語。
事実だけを手のひらに残せば、こころはずいぶん軽くなります。
返信は、明日の朝にきっと来る。あるいは、それは来なくていい関係なのかもしれない。
どちらだとしても、夜にひとりで決めなくていいですからね。
焦らず、比べず、背伸びせず。
スマホを伏せた今夜は、自分の呼吸の音を聞いて眠りましょう。
