かつてのぼくは、からだの声を無視する名人でした。
だるさは、気合でねじふせるもの。
食欲がないのは、気のせい。
眠れないのは、まだがんばりが足りないから。
起業したての若いころのぼくは、本気でそう思っていました。
夏でも、おかまいなしでした。
食欲がなければ、冷たいものだけ流しこんで。
だるくても、予定はぜんぶ詰めこんで。
「若いから、へいき」と、根拠のない自信だけがありました。
からだが「休ませて」と小さな声を上げても、聞こえないふり。
栄養ドリンクを流しこんで、アクセルを踏みつづけて。
走って、走って、走って。
その先で待っていたのは、ボキッと音を立てて折れるように、こころもからだも動かなくなる日々でした。
アディクションに沈んで、引きこもって。
どん底でようやく、ぼくは知ったんです。
からだの声は、無視しつづけると、いつか叫びに変わるのだと。
そして、叫びになってからでは、回復にずっと長い時間がかかるのだと。
こんにちは。ライフコーチのりょーすけです。
八月も、後半にさしかかりました。
このごろ、なんだかだるい。
食欲がわかない。
朝、起きるのがしんどい。
夜、ちゃんと寝たはずなのに、疲れが抜けていない。
好きだったはずのことにさえ、手が伸びない。
そんな夏バテの気配を、感じていませんか?
そして、そんな自分を「たるんでるな」なんて、責めていませんか?
きょうは、これだけ受けとって帰ってもらえたら、うれしいです。
夏バテは、がんばった証拠。
考えてみてください。
この夏、あなたのからだは、ずっと働きどおしでした。
うだるような暑さのなかを、歩いて。
外とエアコンの、大きな温度差を行き来して。
寝苦しい夜も、なんとか眠って、朝を迎えて。
体温を保つ。
汗をかく。
気温や気圧の変化に、こまかく合わせつづける。
あなたが意識していないところで、からだは休みなく、調整をつづけてくれていたんですね。
少しむずかしい言葉でいえば、暑さと冷房のあいだを行き来する夏は、からだのバランスを保つ仕組みが、フル稼働しつづける季節なのだそうです。
がんばり屋さんは、こころだけじゃなくて、からだも、がんばり屋さんなんですね。
いま感じているだるさは、その積み重ねの、請求書のようなもの。
さぼりのサインじゃない。
がんばりつづけた、証拠なんです。
むしろ、バテを感じとれているのは、からだの声がちゃんと聞こえている証拠でもあります。
それは、とてもだいじな感度なんですよ。
繊細ながんばり屋さんほど、ここで自分を責めてしまいます。
「みんな、ふつうに働いてるのに」
「これくらいで、バテるなんて」
でも、比べなくてだいじょうぶ。
あなたのからだには、あなたのからだの事情があります。
それに、元気そうに見えるあの人も、見えないところでバテているかもしれません。
みんな、見せていないだけ。
夏の終わりは、誰にとっても、そういう季節なんです。
暑さに、勝たなくていい。
だるさに、勝たなくていい。
必要なのは根性ではなくて、ねぎらいです。
これは、こころの話でもあります。
からだがバテると、こころも一緒に下を向きます。
なんでもないことにモヤモヤしたり、先のことが急に不安になったり。
そんなときは「こころの問題」を掘り下げるより、先にからだをいたわってあげてください。
温めて、ゆるめて、眠る。
それだけで、あしたの景色が少し変わっていることは、本当によくありますから。
ちなみに、いまのぼくは、昔と逆のことをしています。
朝起きたら、からだに「きょうは、どう?」と聞いてみる。
だるい日は、予定をひとつ減らす。
食欲のない日は、無理に食べず、温かいものを少しだけ。
たいしたことは、していません。
でも、からだの声を「聞こえないふり」しない。
それだけで、夏のしんどさは、ずいぶん変わりました。
休むことは、なまけることではありません。
ぼくにとって、休むことは、修行のうちです。
がんばることより、じょうずに休むことのほうが、ずっとむずかしい。
だからこそ、練習する価値があるんですね。
さて、今日の小さな一歩です。
今夜、この三つのうち、どれかひとつだけやってみてください。
①温かい汁物を、一杯のむ(お味噌汁でも、スープでも)
②シャワーでも湯船でも、いつもより少しゆっくりあたたまる
③いつもより十分だけ早く、ふとんに入る
ぜんぶやらなくて、いいんです。
ひとつだけ。
どれも、五分か十分あればできることです。
「ちゃんと休む」なんて、大きくかまえなくていい。
小さなねぎらいを、ひとつだけ。
そして、ふとんに入ったら、おなかのあたりにそっと手を当てて、こころのなかでつぶやいてみてください。
「この夏も、よくがんばってるね」
からだは、いちばん近くにいてくれる相棒です。
責める言葉より、ねぎらう言葉のほうが、きっとよく効きますから。
もし、だるさがあまりに長くつづくようなら、無理せず、お医者さんの力も借りてくださいね。
がまんくらべをする場面では、ありませんから。
だいじょうぶ。
だるい日は、だるいなりに。
今日もまた、自分らしいペースでトコトコ歩いていきましょうね。
