頼まれると、つい「いいよ」と言ってしまうことは、ありませんか?
ほんとうは余裕なんてないのに、笑顔で引き受けて、帰り道にひとりでため息をついたことは、ありませんか?
夜、ふとんのなかで「なんで断れなかったんだろう」と、自分にがっかりしたことは?
「都合のいい人になってないかな」と、うすうす気づきながら、それでも断れなかったことは?
そんなあなたへ。
だいじょうぶ、あなただけじゃないですからね。
こんにちは。ライフコーチのりょーすけです。
きょうは、「断れない」をめぐる、やさしさと境界線の話です。
さいしょに、いちばん伝えたいことを言ってしまいます。
断れないあなたは、意志が弱いんじゃありません。
やさしすぎるだけです。
断れない人は、頼んできた相手の顔が、見えすぎてしまうんですよね。
断ったら、この人は困るだろうな。
がっかりするだろうな。
気まずくなったら、いやだな。
相手の落胆を、先回りして想像してしまう。
それは、想像力という名の、やさしさです。
鈍感だったら、そもそも悩みません。
あなたが悩むのは、相手の気持ちが見えてしまうほど、こまやかなアンテナを持っているからです。
そのアンテナは、あなたの弱さではなくて、生まれ持った、だいじな彩りのひとつです。
ただ、そのやさしさには、ひとつだけ弱点があります。
自分が、勘定に入っていないことです。
かつてのぼくが、まさにそうでした。
ぼくは、人の顔色をうかがう名人でした。
頼まれたら、断らない。
期待されたら、応える。
しんどくても、「へいき、へいき」と笑ってみせる。
そうやって、ぜんぶ引き受けて、抱えこんで。
起業してからは、なおさら「頼られる自分」を演じつづけて。
「いいよ」と言った瞬間の、相手のほっとした顔を見ると、断らなくてよかった、と思えました。
でも、家に帰ると、どっと疲れが出る。
引き受けた用事の重さより、「ほんとうは、しんどい」と言えなかった重さのほうが、ずっとこたえていたんだと思います。
その先で、ぼくはボキッと折れました。
こころを壊して、アディクションに沈んで、引きこもって。
どん底でふり返って、気づいたんです。
ぼくは、嫌われるのがこわくて「いいよ」と言いつづけた結果、いちばんだいじな自分自身に、ずっと「後回しでいいよ」と言いつづけていたんだ、と。
だから、いまのぼくは、こう考えるようにしています。
断ることは、拒絶じゃない。
関係を長くつづけるための、やさしい境界線。
庭の垣根を、思い浮かべてみてください。
垣根は、隣の家を嫌いだから立てるものじゃないですよね。
おたがいの暮らしを守って、気持ちよく付き合いつづけるためのもの。
「ここから先は、ちょっとむずかしいです」と伝えることは、相手を締め出すことではなくて、あなたの庭を守ること。
あなたの庭が荒れてしまったら、誰かを招くことも、できなくなってしまいますから。
やさしさは、井戸の水にも似ています。
くみ上げるばかりで、雨を待たなければ、いつか涸れてしまう。
あなたのやさしさが涸れないように、境界線という屋根で、守ってあげてほしいのです。
それに、あなたがいつも「いいよ」と言ってくれる人だと、相手は、あなたの限界に気づけません。
悪気なく、頼みつづけてしまう。
境界線を伝えることは、相手に「ほんとうのあなた」を教えてあげることでもあるんです。
ぜんぶ引き受けるやさしさは、いつかプツンと切れます。
境界線のあるやさしさは、細く長く、つづいていきます。
とはいえ、あしたから急に「断れる人」になる必要は、まったくありません。
段階を、ふみましょう。
いきなり百点の断り方を目指さなくて、いいんです。
きょうは、断るまでの、その一歩手前から。
さて、今日の小さな一歩です。
魔法の言葉を、ひとつだけ覚えて帰ってください。
「少し考えさせてね」
断らなくて、いいんです。
即答しない練習から、始めるんです。
①頼まれたら、まず、ひと呼吸おく
②「予定を確認して、返事するね」と伝える
③ひとりになってから、静かに自分に聞く。「これ、ほんとうに引き受けたい?」
引き受けたいなら、気持ちよく「いいよ」。
むずかしいなら、理由を盛らずに、シンプルに「ごめんね、今回はむずかしそう」。
理由を長々と説明しはじめると、苦しくなります。
やさしいうそを重ねる必要は、ありません。
短く、やわらかく、が、おたがいのためです。
ちなみに、断ったあとに罪悪感がわいてきても、だいじょうぶ。
それは、あなたが冷たくなった証拠ではなくて、やさしさの名残です。
「ちゃんと悩んで、決めたんだな」と、自分をねぎらってあげてください。
即答の「いいよ」と、ひと呼吸おいた「いいよ」は、同じ返事でも、こころの重さがぜんぜんちがいます。
あなたのやさしさは、あなたを削るためのものじゃありません。
あなたを含めた、みんなのためのものです。
自分を、勘定に入れてあげてくださいね。
あなたのやさしさが、こわれずに、細く長くつづいていきますように。
今日もまた、自分らしいペースでトコトコ歩いていきましょうね。
