きのうの夕方、ふと、風が変わった気がしました。
昼間はまだまだ暑いのに、日が暮れるころ、すっと通りぬけた風が、ほんの少しだけ軽かったんです。
蝉の声にも、いつのまにか、ツクツクボウシの声が混ざりはじめて。
日の暮れる時間も、少しずつ早くなって。
ああ、夏の終わりが、見えてきたなあ。
そう思ったとたん、胸の奥が、きゅっとなりました。
このきゅっとなる感じ、子どものころから、変わりません。
八月の終わり、夕暮れが早くなって、宿題の残りを数えはじめるころの、あの心細さ。
おとなになっても、八月の後半は、どこかあの気配をまとっています。
蝉の声と、夕焼けと、カレンダーの残りの日数。
あの組み合わせは、いくつになっても、胸のどこかを、そっとさわってきますね。
あなたにも、ありませんか?
カレンダーが8月の後半に入って、なんだか理由もなく、さみしいような、心細いような気持ちになること。
こんにちは。ライフコーチのりょーすけです。
きょうは、この「夏の終わりのさみしさ」の話です。
さいしょに、伝えたいことを置いておきますね。
そのさみしさは、消さなくていい。
さみしさって、なんだか「よくない感情」みたいに扱われがちです。
「そんなこと考えてないで、前向きにいこう」
「感傷にひたってるひまはないよ」
そうやって、フタをしてしまいたくなる。
とくに、がんばり屋さんほど、「さみしい」と言うのが苦手です。
弱音に聞こえる気がして、つい、飲みこんでしまう。
でも、考えてみてほしいんです。
終わりが見えて、さみしくなるのは、それだけその季節が、あなたにとって、だいじだったからですよね。
どうでもいい季節の終わりに、人はさみしくなったりしません。
暑くて、しんどくて、汗だくで。
それでも、あなたはこの夏を、ちゃんと生きた。
さみしさは、その証拠です。
ちゃんと生きた季節が残していく、置き手紙のようなもの。
だから、消さなくていいんです。
むしろ、そっと胸に置いたまま、なでてあげるくらいで、ちょうどいい。
かつてのぼくは、この手の感情に、ぜんぶフタをしていました。
さみしさを感じるひまもないくらい、予定を詰めこんで走っていた時期もあれば、どん底のころは、さみしさをまぎらわすために、アディクションに逃げこんでいた時期もあります。
さみしさを、感じたくなかったんです。
感じたら、負けな気がして。
でも、フタをした感情は、消えていませんでした。
見えないところで、静かに積もっていって、あるとき、まとめて押し寄せてくる。
ぼくのどん底には、そうやって積もった「感じなかったことにした気持ち」が、ずいぶん混ざっていたと思います。
いまは、少しちがいます。
さみしいときは、「ああ、いま、ぼくはさみしいんだなあ」と、そのまま置いておく。
不思議なもので、感情は、ちゃんと感じてあげると、意外とすっと通り過ぎていきます。
フタをしたときのほうが、ずっと長く、こころの底に居座るんですよね。
感情は、天気に似ています。
さみしさの雨も、降らせてあげれば、いつか上がる。
降らせまいと、せき止めるから、いつまでも空が重たいままなんです。
だから今夜は、さみしさの雨を、少しだけ降らせてあげてください。
だいじょうぶ、ちゃんと上がりますから。
それに、夏の終わりのさみしさには、少しだけ、いいところもあります。
終わりが見えてはじめて、ぼくたちは、残りの日々をいとおしく思えるからです。
季節は、とどまりません。
夏は秋へ、秋は冬へ、移ろっていきます。
さみしがっているあいだにも、金木犀の香る秋や、あたたかいお茶のおいしい季節が、こちらに向かって歩いてきています。
移ろうからこそ、うつくしい。
ずっとつづく夏だったら、夕暮れの風に、きゅっとなったりしないでしょう。
さみしさは、「いま、ここ」を味わうための、入り口でもあるんです。
残りの夏をいとおしく過ごせるのは、さみしさを感じられる人の、特権とも言えますね。
さて、今日の小さな一歩です。
きょうの夕方か、夜。
1分だけでいいので、空を見上げてみてください。
夕焼けでも、月でも、曇り空でもかまいません。
そして、見上げながら、「この夏、よかったこと」を、ひとつだけ思い出してみてください。
冷たいスイカが、おいしかったこと。
冷房の効いた部屋で食べた、アイス。
誰かと交わした、なんでもない会話。
小さなことで、いいんです。
思い出したら、「いい夏だったなあ」と、こころのなかでつぶやいてみてください。
まだ終わっていない夏に、少し気が早いくらいで、ちょうどいいんです。
さみしさと、よかったことは、セットで味わうと、ちょうどいい味になりますから。
夏の終わりが見えると、少しさみしい。
それは、あなたがこの夏を、だいじに生きた証拠です。
夏の思い出は、ちゃんとあなたのなかに残って、これからのあなたを、そっとあたためてくれます。
残りの夏も、そして9月からのあなたも、きっとだいじょうぶ。
今日もまた、自分らしいペースでトコトコ歩いていきましょうね。
