月末が近づくと、通帳や家計簿アプリをひらくのが、少しこわくなりませんか?
数字をみて、ズーンと落ち込む。
「今月も使いすぎた」「なんでこんなに残っていないんだろう」と、じぶんを責めはじめる。
みおわったあと、なぜかどっと疲れている。
もし心当たりがあるなら、今日はあなたに伝えたいことがあります。
月末にほんとうに整えたいのは、お金の数字より先に、気持ちのほうかもしれません。
お金の数字は、あなたの「成績表」ではありません。
ただの「記録」です。
今月、あなたがどう暮らしたか。何をだいじにして、何にこころを動かされたか。
その足あとが、数字というかたちで残っているだけ。
なのにぼくたちは、つい数字を「裁判官」にしてしまいます。
残高が減っていたら有罪。予算をオーバーしていたら有罪。
そんな裁判を毎月やっていたら、こころがもちませんよね。
かつてのぼくは、その裁判を毎日やっていました。
起業していたころ、月末は数字に追われる日でした。
売上、支払い、残高。数字がよければ一瞬ホッとして、悪ければ夜も眠れない。
じぶんの値打ちまで、数字といっしょに上がったり下がったりしていました。
やがてこころが折れて、どん底にいたころは、通帳をひらくことすらできませんでした。
見なければ不安は消えるかというと、逆なんですよね。
見ないほど、不安はモヤモヤと大きくなっていく。
かたちのない不安ほど、こわいものはありませんでした。
数字と向き合えないじぶんを、また責める。
責めるから、よけいにこわくなって、ますます向き合えなくなる。
そんなぐるぐるの輪のなかを、長いあいだ回っていました。
いま思えば、あのころのぼくに必要だったのは、正しい家計管理の方法ではなくて、「責めない見方」のほうだったと思います。
数字の前で立ちすくんでいる人に、「ちゃんと管理しなさい」という正論は、あまり届きません。
こわいのは数字そのものではなくて、数字をみたあとに始まる、じぶん裁判のほうだからです。
だからまず、数字ではなく、みる側のこころを、ほんの少しあたためておく。
それが、ぼくなりの月末の作法になりました。
再生の道のりのなかで、ぼくはお金とのつきあい方を、少しずつ変えていきました。
いちばん大きかったのは、「責めるためにみる」のをやめて、「ねぎらってからみる」ことにした、という変化です。
数字をひらく前に、まず、ひと呼吸。
「今月も、なんとかやりくりしてきたね」と、じぶんにひとこと。
たったそれだけで、おなじ数字が、ちがう表情でみえてくるから不思議です。
使いすぎた月があっても、いいんです。
お金は、感情とくっつきやすいものです。
さみしかった月は、出費が増える。がんばりすぎた月は、ごほうびが増える。
それは意志が弱いからじゃなくて、こころが一生けんめい、バランスを取ろうとしていた証拠です。
だからまず、責める前に、ねぎらう。
整えるのは、数字より先に、気持ち。
順番をひとつ入れかえるだけで、月末の夜は、ずいぶんやさしくなります。
もしかしたら、「ねぎらうなんて、あまい」と感じる方もいるかもしれません。
とくに、がんばり屋さんほど、じぶんへのねぎらいが、いちばん苦手だったりします。
他人のがんばりには「おつかれさま」と言えるのに、じぶんには「まだまだ」と言ってしまう。
でも、考えてみてください。
毎月、家賃や食費をやりくりして、支払いを済ませて、暮らしをちゃんと回している。
それって、ほんとうは、すごいことなんです。
満点じゃなくても、暮らしが今日も続いている。
その事実だけで、ねぎらう理由は、もうじゅうぶんにあります。
今日の小さな一歩は、3分だけの「月末ふりかえり」です。
①数字をひらく前に、深呼吸をひとつ
②「今月も、おつかれさま」と、じぶんにひとこと
③今月つかったお金のなかから、「これは使ってよかったなあ」というものを、ひとつだけ探してみる
友だちとのごはんでも、暑さをしのいだ冷たい一杯でも、なんでもいい。
「よかったお金」をひとつ見つけられたら、それで今日はおしまいです。
反省会は、しなくてだいじょうぶ。
もし「よかったお金」がひとつも見つからない月だったら、それはそれで、だいじょうぶ。
「今月は、それだけ余裕がなかったんだなあ」と、じぶんの肩をそっとなでてあげてください。
そう気づけたこと自体が、もうりっぱなふりかえりですから。
数字そのものは冷たくても、お金の使い方には、あなたの体温がちゃんと宿っています。
その体温をひとつ確かめられたら、月末のふりかえりとしては、もう満点だとぼくは思うのです。
月末は、お金より気持ちを整える。
そうやって8月をやわらかく締めくくって、9月をむかえましょう。
だいじょうぶ。
人生というスパンでみれば、帳尻はきっと、然るべきところに落ち着いていきますから。
今日もまた、自分らしいペースでトコトコ歩いていきましょうね。
